1980年に開催されたモスクワオリンピック。
世界で初めて共産圏で開かれるオリンピックでしたが、日本代表は出場を絶たれました。
アメリカを支持する日本政府の方針を受けたJOC(日本オリンピック委員会)の総会を経て、モスクワオリンピックを国としてボイコットすることになったのです。
総勢178人の日本代表アスリートたちが、一瞬にして未来を奪われた瞬間でした。
モスクワオリンピック日本代表とボイコット決定の衝撃
第22回オリンピック競技大会は、ソビエト連邦(ソ連)のモスクワを開催地に、1980年7月19日の開会式を皮切りに始まり、8月3日までの16日間行われたスポーツの祭典です。
ですが、この交際大会に日本代表の姿はありませんでした。
なぜなら、日本はこのモスクワオリンピックをボイコット、つまり不参加を決めたからでした。
このオリンピックボイコットの背景には、当時の国際情勢が深く関わっています。詳しくは別記事にわかりやすく書いていますので、よろしければそちらをご覧ください。
・モスクワオリンピックボイコット国と理由 不参加を決めた背景とは?
ごく簡単にいうと、モスクワオリンピック開催国・ソ連(共産国)と、アメリカ(資本主義国)の国際対立に日本は巻き込まれたというのが、ボイコットの大きな理由。
日本はアメリカとの安全保障上の重要なパートナーですから、モスクワオリンピック不参加を呼びかけたアメリカを支持した形です。
ただ、国と国との関係さえ問題回避できればそれで良いのではなく、オリンピックには、そこへ出場するために、何年も懸命に努力を続けた選手の存在は無視できない筈です。
結果、開催2ヶ月前という寸前になってモスクワオリンピック不参加という決定を受けて、選手たちは苛立ちとも無念とも言いがたいコメントを残しています。
モスクワオリンピックボイコットで出場を絶たれた無念
以下が、「幻の代表選手たち」が出場予定だったオリンピック競技です。
- 陸上競技
- 水泳
- ボート
- ボクシング
- 女子バレーボール
- ハンドボール
- 体操柔道
- レスリング
- ヨット
- ウエイトリフティング自転車競技
- フェンシングライフル射撃
- 近代五種競技
- カヌー
- アーチェリー
- クレー射撃
総勢178人の代表選手たち
金メダルを期待されていた柔道の山下泰裕さんやマラソンの瀬古利彦さん、動画で紹介したレスリングの高田裕司さんは有名ですが、その他にも170名以上。
いや、監督やコーチ、スタッフや選手の身内なども含めれば、何千人という人間がモスクワオリンピックへの日本代表ボイコットに言葉を失いました。
ほんと考えれば考えるほど、やるせない気持ちになる。そんなショッキングな出来事でした。
マラソン日本代表・東京2020に受け継がれる深い絆
さきほどの代表選手や関係者に加え、テレビを通じて日本選手を応援しようと楽しみにしていた国民も加えれるなら、日本全体を失意に落とした
過去最悪のジェッジだった
と個人的には思います。
当時のことを調べていたところ、当時17歳で元日本代表の女子体操選手だった笹田弥生(旧姓:加納)さんが、日本がモスクワオリンピックをボイコットし、一方的に出場を絶たれたことに対してのコメントを見つけました。
インタビュー取材が行われたのは、2018年。
1980年のモスクワオリンピックから、実に38年という長い年月を経てもなお、
心にくすぶる思いをこう表現していました。
五輪に出るのは本当に大変なことです。そう思えば思うほど、私は代表になったのに、なぜ行かせてもらえなかったのかと納得がいかない。五輪のたびに、その思いが繰り返され、強くなる。
この無念を墓場まで持って行くのでしょうね
笹田弥生(旧姓:加納)さん
オリンピックの主役は政治家ではない。
ただ、ボイコットの歴史を過去の負の遺産としてだけ捉えるのではなく、未来へ生かす一つの大きな教訓にするべきだと思いますが、あなたはどう考えるでしょうか?
こういう忘れてはならない歴史の上に、2020年の東京大会がある。
明るく、より良い未来へと続く「スポーツの祭典」の成功を、心から期待したいと思います。一緒に選手たちを応援しましょうね。